飯田一史氏プロフィール
ライター。 文芸とサブカルチャーを中心に取材・執筆を手がける。著書に『いま、子どもの本が売れる理由』(筑摩書房)、『マンガ雑誌は死んだ。で、どうなるの?』(星海社新書)、『ウェブ小説の衝撃』(筑摩書房)などがある。
ヤングアダルト最前線
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第31回 自著出版で改めて気づいたこと、大切なマクロ視点の統計チェック
本紙連載の原稿も加筆修正のうえ収録した、拙著『「若者の読書離れ」というウソ』(平凡社新書、6月発売)は、重版がかかり、書評が出たり、要約記事サービスからのオファーや、取材の打診が複数あるなど反響があった。ありがたいことだ […] -
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第30回 〝雑誌の読書推進〟施策が急務、定期刊行物が来店・購入促す
この6月に、本連載の原稿も改稿して収録した『「若者の読書離れ」というウソ 中高生はどのくらい、どんな本を読んでいるのか』(本体980円)を、平凡社新書から上梓した。今回は、そこに書きもらしたことを補足的に論じてみたい。 […] -
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第29回 第五次読書推進計画を見直す、書籍偏重やめ多様性への配慮を
2023年3月28日に、第五次「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画」が閣議決定された。 筆者は基本的に第四次までの同計画は、2000年代以降の小中学生の読書(書籍)のV字回復や、高校生の不読率低減に貢献したとして […] -
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第28回 読者層広がる「~銭天堂」、絶妙なバランスで中学生も取込む
廣嶋玲子「ふしぎ駄菓子屋銭天堂」(偕成社)は、小学生だけでなく、いまや中学生にも人気のシリーズだ。とはいえ小学生と中学生では当然、読書に求めるものが異なる。だから同じ作品を読んでも、反応する部分は違うはずである。 一般的 […] -
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第27回ゲーム発のノベル「星のカービィ」、なぜ中1男子に人気なのか?
角川つばさ文庫から刊行されている小説版「星のカービィ」(高瀬美穂作、苅野タウ、ぽと絵)は、小学生のみならず、中1男子にも人気がある。 「星のカービィ」は、1992年から続く、任天堂のアクションゲームのシリーズである。だが […] -
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第26回 米澤穂信〈古典部〉シリーズ、男子高校生にも読まれる理由(下)
米澤穂信〈古典部〉シリーズ(以下〈古典部〉)は、2010年以降現在に至るまで、10年にわたり学校読書調査上で、高校生男子に人気の学園ミステリー作品である。 このシリーズでは思春期らしい自意識が描かれ、終盤にどんでん返しが […] -
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第25回 米澤穂信〈古典部〉シリーズ、男子高校生にも読まれる理由(上)
米澤穂信による学園ミステリー〈古典部〉シリーズは、まず著者のサイト上に第1作『氷菓』の習作版の短篇小説が書かれた。次いで「楽園」というウェブ小説登録サイト上で好評を得たのち改稿・長編化し、角川学園小説大賞ヤングミステリ […] -
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第24回 実は少数派?のラブコメ読者、「このラノ」ランキングなどで分析
宝島社が毎年刊行している『 このライトノベルがすごい!』(以下『このラノ』)は、読者投票形式のランキングムックだ。同書への10代読者による投票で上位にくる作品と、「学校読書調査」で中高生が読んだ本の上位に挙げる作品とを […] -
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第23回 日中韓の児童生徒の読書率は? それぞれの読書調査を比べてみた
2022年の学校読書調査が、11月1日に発表された。 不読率(5月1カ月間に読んだ本が0冊の児童生徒)は、小学4~6年生が6・4%、中学1~3年生が18・6%、高校1~3年生が51・1%(1冊以上読んでいる人の割合を […] -
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第22回 大学生の読書習慣への施策(2) 大学の「入口」と「出口」で工夫を
「読書推進活動は、高校生までは「本を読む」こと自体を促すものが主流である。一方、大学生に対する主たる読書推進活動では、研究したりレポートを書いたりするための本の探し方、読み方、使い方や図書館の活用を学ぶことを念頭に、推 […] -
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第21回 大学生の読書習慣への施策、〝半数押さえれば成功〟前提に
「大学入学以降、遊びほうけていて勉強しない」などと、〝大学のレジャーランド化〟が批判されていた1980~90年代の大学生より、「文科省の指導で講義の出席率が厳しくなり、昔よりまじめになった」といわれる今の学生の方が、実 […] -
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第20回 大学生の不読率上昇原因は? 「学生生活実態調査」もとに検証
2021年10月~11月に実施され、22年3月に発表された、全国大学生協連による「第57回学生生活実態調査」。この調査によると、1日の読書時間を0分と回答した学生の割合は、2012年には34.5%だったが、21年には5 […] -
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第19回 中高生に確実に本を届けるために、学校・公共図書館現場への提言
中学・高校の学校図書館や公共図書館が、YAサービスについて書いた近年の書籍や雑誌をまとめて読んだ。苦々しい気持ちになった。司書による施策の成功事例が、なかなか見当たらないからである。 子どもが小学校から中学校、高校と […] -
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第18回 中高生が読む小説以外の本、共通点は「陰キャの自己慰撫」
学校読書調査の結果わかった「中高生がよく読んでいる本」のうち、小説以外のものを見ると、ある共通点があることに気づく。ひとことで言えば、「陰キャの自己慰撫」(陰キャ=後ろ向きな人)だ。それをひとつずつ見ていこう。 まず […] -
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第17回 存在感増す児童文庫作品、中学生のラノベ離れと対照的に
学校読書調査で明らかになった中高生の〝ラノベ離れ〟に関しては、本欄でも何度か触れてきた。それと対照的に、中学生において存在感を増したのが、児童文庫作品だ。 2021年の同調査では、「今の学年になってから読んだ本」の上 […] -
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第16回 「ラノベ」の新しい人気シリーズ、「探偵はもう、死んでいる」を分析
中高生におけるラノベのプレゼンスの低下、読まれるタイトルの固定化(「ソードアート・オンライン」、〈物語〉シリーズ、「キノの旅」といった10年、20年選手が強く、新作は弱い)については、本連載の過去の回でも触れてきた。 […]