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本屋の新井です
第20回 本をすすめる仕事
岩手県の奥州市立胆沢図書館が、とても手の込んだ新井賞の展開をしてくれている。しかし写真をよく見ると、肝心の本『ライオンのおやつ』(ポプラ社)が1冊しかない。書店でこれだけの展開をするなら、積み上げる必要があるだろう。だ […] -
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第19回 新年会の幹事
会社の忘年会、新年会、歓送迎会の類いが苦手だ。面倒だし、楽しくないし、大して美味しいものにもありつけない。前の会社では、常に強硬な態度で欠席を貫き、自動的に幹事の役からも逃れてきた。 だが、ついに私も年貢の納め時。店 […] -
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第18回 大当たり
コンビニで何気なく買い物をすると、くじ引きの箱を持ってこられて、よく分からずに手を突っ込んでいることがある。会計金額に応じて引けるらしいクジのアタリは、店頭に並ぶペットボトルのお茶やカップラーメンなんかだ。コンビニでの […] -
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第17回 腰が痛い
腰が痛い。100円あげるから、その新刊が詰まった段ボールを、誰か私の代わりに持ち上げてはくれないか。「どっこいしょ!」と気合いを入れないと、床に落ちたレシートも拾えない。書店員を10年続けてきたが、腰を痛めたのは初めて […] -
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第16回 子どもが読む本
「子どもが読む本を探しているのですが」と声を掛けられたので、まず子どもの年齢を確認した。その女性は、あなたくらいの娘だ、と答えた。塞ぎ込む娘に本を読むことを提案したところ「読んでみたい」と答えたそうなのだ。 しかし引 […] -
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第15回 本末転倒が転倒
先日、2泊3日で山形県の肘折温泉に出掛けた。体の痛みや疲労回復などに高い効果があるとされ、本気の湯治場としても有名である。湯治とは本来、療養目的で長期間滞留することだ。たった2、3日では、旅の行き帰りの疲れが温泉の効果 […] -
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第14回 私の持病(2)
2年ほど前に前歯を差し歯にしてからというもの、どうも取れて取れて仕方がない。相当注意して食事をしているが、それでも取れる。これもまた、不治の病だろうか。(前回参照) 引越しをして遠くなったため、近所のデンタルクリニッ […] -
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第13回 私の持病
ポストに封書を投函できないまま、もう2週間も経ってしまった。ラブレターではなく請求書なので、躊躇っているわけではない。白かった封筒は鞄の中で黒ずみ、ボールペンで書いた番地が、何かの水分で滲んでいる。電車で行けば30分も […] -
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第12回 ディストピア書店
ディストピアといえば、小説読みにとっては、文学の魅力的なカテゴリのひとつである。理想郷とはかけ離れた近未来が、空想の絶望ではあっても、現実社会の延長線上にあるように感じてならなかった。そして先日、西の方へ旅に出た際、つ […] -
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第11回 今はどんな気分?
本を自分の手で売るのではなく、「私のオススメはこれです」と選書だけする仕事がどうも苦手だった。遠すぎて見えない賽銭箱に、振りかぶって誰かの大事なものを投げるような後ろめたさがあるのだ。 先日公開された大塚製薬「エクエ […] -
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第10回 エーゾーはエーゾー
こまめに追加注文をかけて、長く平積みを続けている小説の文庫本が、ある日突然、知らない人の顔写真に包まれて納品されるとギョッとする。美しい装画は、ロング帯で大半を隠されていた。別に映画化が決まったから、発注したわけではな […] -
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第9回 うろんなはなし
あの、やけに軽いプラスチックケースめ。店頭に陳列している、CDのダミーだ。呼び名からして悪役っぽく、中身が胡乱なところが嫌である。レジで受け取ったそれを見本に、ストックから商品を探すのだが、実際は倍の厚みがあったり、二 […] -
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第8回 そういうことじゃないんだが。
「お1人様1冊限り」と表示している商品を、レジに1冊ずつ何度も持ってくる人がいる。並び直せば生まれ変わって別人になります、という謎設定に付き合う義理はないが、そこまでする人はそれを相当欲しいはずなので、下手に指摘すると […] -
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第7回 女性専用?
うっかり女性専用車両に駆け込んだ男性は、女性たちに睨まれて当然なのだろうか。周囲が女性ばかりであることに気付くと、気の毒なほど身を縮めていた。 その時の違和感は、山崎ナオコーラさんの『ブスの自信の持ち方』(誠文堂新光 […] -
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第6回 エッセイはこちらです
エッセイって何ですか?なんて書店員がいたら、マジかよー! と頭を抱えるが、私は今、エッセイの棚作りに頭を抱えている。マジで。 今働いている書店には「のんびり読む本」という棚があり、比較的のんびりとしたエッセイはここへ […] -
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第5回 太宰治と嵐
太宰治の「人間失格」は版権が切れているため、複数のバージョンが存在するが、基本的に内容はどれも同じだ。しかし嵐の新作CDは、同じ会社が同じ日に同じタイトルで、初回限定盤の1と2、そして通常盤をリリースするのである。どれ […]