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本屋の新井です
第84回 新幹線開業で変わる書店
JR芦原温泉駅は今、2024年春の北陸新幹線開業に向けて、大きく変わろうとしている。駅前にビジネスホテルが建ち、駅内の施設にはカフェや特産品を売る店が入るようだ。 北陸新幹線は金沢から敦賀まで進む予定で、その敦賀駅前 […] -
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第83回 書店員の性
「怪物が出てくる本」で、パッと思いついたのは、樋口毅宏の文春文庫『二十五の瞳』だった。タイトルや表紙からは想像もつかない、ニジコという怪物が登場する。 楽屋で化粧をしている時、同室の姐さんから、よく本について質問を受 […] -
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第82回 本屋か100円ショップか
福井でドライブをしていたら、書店の看板が見えたので、立ち寄ることにした。 都内と違い、車移動がメインの土地では、遠くからでも「本」という文字が目立つ看板を掲げる店が多い。そして大抵、文房具やCD・DVDの売場が併設さ […] -
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第81回 蟹、見つけた
高円寺駅の南口を出て、パル商店街のアーケードを抜けたら、左手に小さな蟹の看板が現れる。このビルの2階に目当ての店はあるようだ。 階段の壁に並ぶ郵便受けや、ゴミ出しについての貼り紙が、誰かの家に来たみたいで胸が高鳴る。 […] -
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第80回 梅干しよりカツサンド
口内で分泌された唾液は、適宜飲み込んでいるはずだが、口の外に垂れることもある。それを私は受け止めたい、この細長いプラスチックの容器で。しかし垂らそうと思えば思うほど唾液は出ない。 コロナ感染者が増えているため、PCR […] -
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第79回 贅沢読書
三国の海を望むイタリアンでパスタランチを食べた。といっても海までは相当距離がある。そこは高台で、斜面に根を張る桜の木に囲まれたテラスにはソファが並び、枝々の間に海がキラキラと輝く。 オーナーは昼の営業を終えるといった […] -
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第78回 「ない」の証明
最初はPHSだった。白いおもちゃのような筐体をポケットに入れて納品の作業をしていると、店内のどこにいても、自分の担当ジャンルについての問合せに対応できる。ある程度の広さの書店なら、お客様をお待たせする時間を短縮し、売り […] -
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第77回 旅先の書店
仕事で愛媛県の道後温泉に滞在している。夕方までは時間があるので、朝目が覚めたらオレンジ色の路面電車に乗って、あちこち出掛けるのが日々の楽しみだ。 繁華街らしき「大街道」で下りると、目の前の商業施設に明屋書店の看板を見 […] -
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第76回 ストリップ劇場でサイン会
道後温泉にあるストリップ劇場は昼間、うどん屋として営業しているらしい。温泉客は宿で食事を摂って夜の街へ繰り出すから、営業開始時間が遅いのだ。それまでの間、別の業態で場所を活用することは経営を助けるし、地元の人や観光客に […] -
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第75回 もう○○ない!
タモリといえば「笑っていいとも!」の司会というイメージだが、かつてCDを出していたことを憶えている人はいるだろうか。正確には私が生まれる前に発売したレコードの、復刻版CDだ。 知人からそこに収録されたネタの話を聞き、 […] -
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第74回 自分のお店
新宿の喫茶店「らんぶる」で元同僚を待っている。日比谷コテージの閉店以降、顔を合わせていないが、きっと絵を描いたり服を作ったり、彼女らしく過ごしているのだろう。 隣のボックス席から聞こえてくる会話に耳を傾ける。どうやら […] -
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第73回 私の上野
高校生の頃、上野駅構内の居酒屋でアルバイトをしたことがある。あの頃はまだ、地下通路の脇にホームレスの人や酔い潰れた人が座っていて、治安がいいとは言えない場所だった。 瓶ビール用のサッポロだかキリンだかのロゴがプリント […] -
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第72回 いざ、神保町へ!
「異動で離れた店舗には一切近付かない」と、潔く言い切る上司がいた。確かに、後を継いだ人にとってはプレッシャーだし、手を出せないもどかしさもあるだろう。 しかしその日の私は、娘のアルバイト先に偶然を装って押しかける母み […] -
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第71回 渋谷のレジに立ちました
渋谷のど真ん中にある書店には、一体どんなお客さんが来るのだろう。慣れないインカムを耳に装着し、自動釣銭機が付いたレジに立つと、書店でアルバイトを始めた時からやっていることは変わらないはずなのに、世界だけがずいぶん未来へ […] -
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第70回 渋谷で働き始めました
渋谷という街は苦手だ。10代の頃は制服にルーズソックスでセンター街を練り歩いたものだが、昨今は好きなバンドのLIVEがある時だけ、そそくさと現場へ向かい、事が済んだら裏通りの古い焼き鳥屋で一杯飲むくらいだ。 それがま […] -
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第69回 店をたたむということ
シフトの都合で、開店準備はできても、閉店作業の経験がほとんどないままだった。ピンチヒッターとして遅番に入ると「朝の仕事の逆をすればいいんだよ」と言われるが、まとめたゴミをどこへ持っていけばいいのかもわからず右往左往する […]