新井見枝香氏プロフィール
元書店員。これまでに、三省堂書店、HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEに勤務。
本屋の新井です
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第100回《最終回》 幸か不幸か
連載マンガの最終回は、後世まで語り継がれることが多い。しかし、どういうわけか、私はそれらの記憶が抜け落ちている。物語が始まる冒頭や、なんてことない1コマはくっきりと思い出せるのに。きっと終わりだけを重要視していないのだろ […] -
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第99回 8頭身と2頭身
「新井さんは2頭身だな、ハハハ!」顔が小さく、スタイルの良い8頭身の踊り子・Aさんを褒めるために、たまたまステージ上で隣にいた私が引き合いに出された。 特段顔の小さくない私を、その対比として大げさに「2頭身」と表現したの […] -
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第98回 (仮)の志
選書に参加したフェアが気になって、三省堂書店神保町本店の仮店舗に行き、うっかり手が引きちぎれるほど本を買ってしまった。 《本は持ち運び可能な魔法です。》と掲げられた看板の下には、「持ち歩きたい本」をテーマに選書された本が […] -
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第97回 怪しい肩書き
書店員の肩書きが無くなると、踊り子とエッセイストという、できれば近付きたくない感じの人になってしまった。実際そんなことはないのだが、人前で裸になる非常識な人と敬遠されても無理はないし、物書きなんぞに近付いたら何を書かれる […] -
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第96回 仕事で落下
ついにやってしまった。本番中、劇場のステージから落下。余興で着た借り物のドレスの裾を踏んでしまい、つるっと滑ってぽーんと背中から客席にダイブしたのである。 着地した瞬間は息が詰まったが、恥ずかしさのあまり、何事もなかった […] -
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第95回 ごった煮の味
好きな書店は? と聞かれれば、「八重洲ブックセンター本店」「明正堂アトレ上野店」「三省堂書店有楽町店」の3店舗を挙げていたが、気付けばもう、そのうちのひとつしか残っていない。 お気に入りの小さな書店はいくつか増えたが、私 […] -
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第94回 首の痛みの原因は……
首が痛い。痛いなぁと思いつつ一日過ごしたら、とうとう夜中にはそろりそろりとしか歩けなくなり、電車の揺れすら痛くて悲鳴を上げるほどになった。 ステージで踊る間は夢中で気付かなかったが、何かの振りで痛めたのかもしれない。数日 […] -
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第93回 元書店員同士
退職届を記入し、有休を消化するのみとなった。しかし「本を売りたい」という気持ちは、変わらずにある。 それを強く認識したのは、この3月から始まったネットラジオ「Audee」(東京fm系)の配信番組「元・本屋の新井、スナック […] -
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第92回 元書店員の新井です
先日、劇場に『本屋の新井』(講談社)を胸に抱えた女性がやって来た。彼女は日本語の先生で、この本を教材として使用しているという。それについて、一度ご挨拶をしなければと、律儀な先生はわざわざストリップの公演に駆け付けてくれた […] -
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第91回 直木賞効果
友人が直木賞を受賞してからというもの、直接の知り合いならまだしも、顔も名前も知らない人から、SNSのコメントやDMで「おめでとうございます」と祝福され、なんとなく「ありがとうございます」と答え続けている。 しかし不思 […] -
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第90回 元は書店があったところで
子どもの頃に住んでいたマンションを訪れたらコインパーキングになっていた、と知人が笑いながら話していた。よくある話だと私も笑って聞き流したが、後になって、それはどんな気持ちだろうと想像すると止まらない。全然笑える話なんか […] -
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第89回 素直な言葉を聞かせて……
あるお笑い芸人に聞いた話である。入場無料のイベントと、有料のお笑いLIVEで、まったく同じネタを公開したところ、タダで観覧した客は野次か居眠り、チケットを購入した観客は、腹を抱えて笑っていたそうだ。何でもフリーの時代に […] -
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第88回 新月
満員のライブハウスで、久しぶりに腹の底から声を出した。「ウォー!」と叫んで、みんなで拳を突き上げる。コロナ感染拡大防止のための観客による声出しの規制が緩和されたのだ。 コロナとともに始まった無観客有料配信ライブに引き […] -
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第87回 広告ターゲティング
インスタをチェックしていると、最近気になっているアンチエイジング化粧品の広告が流れてきて、思わずクリックする。まさに昨日の夜、必死に口コミを調べていたのだ。 すると今度は、猫柄のワンピースが流れてきて、なかなか先へ進 […] -
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第86回 色紙って何?
ラーメン屋で注文を済ませ手持ち無沙汰になると、壁に並んだ芸能人の色紙を見上げる。彼らは名誉に関わるから、不味い店に色紙は残さないだろう。初めて入った店なら期待が高まるし、行きつけの店なら、なんだか誇らしい。舌で感じる美 […] -
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第85回 書店研修の彼
週刊誌の「女性自身」を発行している光文社から、取材の依頼があった。昨今、そういった連絡はツイッターのダイレクトメッセージで受けることが多いが、それは珍しく、出演中の劇場に届いた直筆の手紙だった。 そこには、連載コーナ […]