-
本屋の新井です
第12回 ディストピア書店
ディストピアといえば、小説読みにとっては、文学の魅力的なカテゴリのひとつである。理想郷とはかけ離れた近未来が、空想の絶望ではあっても、現実社会の延長線上にあるように感じてならなかった。そして先日、西の方へ旅に出た際、つ […] -
失われた屋号を求めて
第7回 コンプレックスに本
勉強やスポーツができなくて悔しい思いをする、という経験をあまりしないまま10代を過ごした。と言うとまるで自慢のようだけどそうではなくて、いまなお根深く私の性格や言動に影響を及ぼし続けるコンプレックスの話である。 何事 […] -
本屋の新井です
第11回 今はどんな気分?
本を自分の手で売るのではなく、「私のオススメはこれです」と選書だけする仕事がどうも苦手だった。遠すぎて見えない賽銭箱に、振りかぶって誰かの大事なものを投げるような後ろめたさがあるのだ。 先日公開された大塚製薬「エクエ […] -
本屋の新井です
第10回 エーゾーはエーゾー
こまめに追加注文をかけて、長く平積みを続けている小説の文庫本が、ある日突然、知らない人の顔写真に包まれて納品されるとギョッとする。美しい装画は、ロング帯で大半を隠されていた。別に映画化が決まったから、発注したわけではな […]