-
失われた屋号を求めて
第6回 光をあてる
小説を、書こうとしたことがある。まずは登場人物を考えようとノートを広げ、いくつかアイデアを練った段階でぴたりとペンが止まった。紙の上とはいえ、過去も未来もあるひとりの人間を現出させるには、もう一度初めから人生をやり直す […] -
本屋の新井です
第9回 うろんなはなし
あの、やけに軽いプラスチックケースめ。店頭に陳列している、CDのダミーだ。呼び名からして悪役っぽく、中身が胡乱なところが嫌である。レジで受け取ったそれを見本に、ストックから商品を探すのだが、実際は倍の厚みがあったり、二 […] -
本屋の新井です
第8回 そういうことじゃないんだが。
「お1人様1冊限り」と表示している商品を、レジに1冊ずつ何度も持ってくる人がいる。並び直せば生まれ変わって別人になります、という謎設定に付き合う義理はないが、そこまでする人はそれを相当欲しいはずなので、下手に指摘すると […]