-
失われた屋号を求めて
第3回 コスモス書店
「心配するといけないから秘密にしてって頼まれたのだけど」 長期休暇を利用して帰省した私に、母がこそっと耳打ちしてきた。お父さん、救急車で運ばれて入院したんだよ、1週間も。それでね、お酒も煙草もダメだって言われたのに全然 […] -
本屋の新井です
第3回 ないないない
1階から6階までの全てが本屋だなんて夢のようである。子どもの頃、休日に父親と八重洲ブックセンターに行って、くまなく棚を見てまわるのが好きだった。つい先日まで、私はその思い出に近い大型書店で働いていたのである。 しかし今は […] -
失われた屋号を求めて
第2回 羊水と星
秘密基地は狭ければ狭いほどいい、とは子ども時分のわたしの格言である。 近所の子たちがススキ畑を踏みしめて作り上げた巨大秘密基地の隅っこに、ひとりしゃがむのがやっとの空間を勝手に作って楽しんでいるような子どもだった。 […] -
本屋の新井です
第2回 ドレスと文学
先日開催された服飾文化学会の大会で「デルフォス」という名のドレスに使用された、特殊な生地についての研究発表があった。 博物館に勤めるその女性は「デルフォス」が一般家庭に所蔵されていると聞けば自ら足を運んで調査する。日 […]