EHONSでグッズの企画に追われるようになって、たまに、息ができなくなるくらい苦しくなる。そんな時に立ち寄るのが、ディズニーストア。視察も兼ねているけれど、大半はその空気をめいっぱい吸い込みパワーをもらいに行く。一歩入れば圧倒的な世界観に包まれ、非日常に引き込まれる。誰もが胸踊る、その創り込み方には感嘆させられる。本当はディズニーランドに行きたいところだが、ショップの雰囲気だけでも十分満たされる。EHONSの企画でもこんな空間をつくれたら、と強く思う。
そんななか、年末にうれしい知らせが届いた。12月恒例の個展にあわせてスズキコージさんが久しぶりに東京へ来るという。コロナなどもあったため、なんと5年振り。いそいそウキウキ、設営の手伝いに行く。ギャラリーの定位置に座るコージさんを見て、泣きそうになる。
コージさんは子どもの頃から今までを支えてくれた大好きな絵本作家。幼少期は絵本で身体を満たし、大人になってからは、らいおんのロゴをつくっていただいたり、たくさんのイベントをご一緒したりとお世話になった。愛してやまないコージさんをお金持ちにするため、本屋をやっていると言っても過言ではない。いつかお店丸ごと「スズキコージ書店」にするのが目標だ。
神戸に引っ越されたため、なかなか会えなかったコージさんと同じ空間で、たくさんの原画に囲まれながらの至福の設営日を終え迎えた初日。目玉はこの展示に合わせて架空社から復刊された、コージさんとミュージシャンの友部正人さんの絵本『絵の中のどろぼう』。たくさんの方がいらっしゃった。いつもの仲間も、懐かしい顔も、知らない人も、一体になるような感覚。コージさんは、生きる力と愛がエネルギッシュに混ざりあった麻薬。みんなが酔いしれてサイコーに楽しく、サイコーに平和で幸せに溶けてゆく。
久々のコージさんはディズニーの比じゃないほど刺激的で、私はクラクラしながらも、身体中すみずみまで超絶パワーの魔法がかけられていくのを感じる。
「死んでるヒマがないんだよ」
とコージさんは言った。私も生きて生きて、酔い続けたい。そして自店舗どころか、全国の本屋を「スズキコージ書店」にするのだ! コージさんの魔法にかかればきっと世界はサイコーに素敵な場所になる。
初コージの洗礼を受けた後輩が次の日ぽそり、こういった。
「興奮して目が冴えて、明け方まで眠れませんでした」
ディズニー超えのスズキコージ、アッパレ!
(本紙「新文化」2025年1月9日号掲載)