東京・新宿区の市谷にあるDNPプラザにおいて、10月17日から12月27日の日程で「本と、もっと仲良くなる仕掛け展」が開催されている。DNPと武蔵野美術大学クリエイティブイノベーション学科との共同研究で生まれた、人が本を読みたくなる「新たな読書体験」についての企画展だ。
「本の成分表示」「背表紙アート」「本と額」「本をテイクアウト」「本のパッケージ」「香りと本」「じぶんフォント」など、様々なアイディアの種が形となって展示されている。
「本の成分表示」は、さながら食品成分表のように本の内容を分析した結果を数値化してラベルで表示したもので、その時の気分で本を選んでもらう仕掛けが施されている。
「本と額」や「本をテイクアウト」は、お気に入りの装丁を手軽に自身の生活に取り込んでもらう企画となっている。読むだけではない、フィジカルな本の楽しみ方を提案している。
紙の出版市場の縮小が続くなか、未来の読者人口を増やすために、どうしたら「本」との出合いが増え、「本」の魅力を感じてもらえ、「本」とうまく付き合って、「本」をもっと好きになってもらえるのか、まさにそのヒントが詰まった企画展である。
「こんなかたちで本と出合えたら楽しいかも」「こんな本の読み方があったらいいかも」「こんな素敵な本を手に取ってみたいな」などの声から、新たな読書体験のきっかけを見つけることができるかもしれない。ぜひ本の可能性を感じてみてほしい。
(本紙「新文化」2022年12月1日号掲載)