第43回 「読書の時間」の現在

 東京都に設立認証申請してから3カ月が過ぎた9月26日、ようやくNPO法人「読書の時間」として認証が下りた。
 まだまだ設立に関する事務手続きは終わらないが、まずは「本に関する授業『読書の時間』を学校に提供する」という目的の公益性を認めていただけたことに安堵している。
 出版業界全体のコミュニティの力で、子どもたちと本を、学校と社会をつなぎ併せられないか――。そう考え、試行錯誤してきたことが実を結ぼうとしている。
 現在は「これからの読者のために今できること」をテーマに、読書教育の推進を図る活動も計画中だ。読者を育て、そして地域の人々が本に触れる機会をつくることで、人々の暮らしをより豊かなものにしていきたい。
 この連載で何度か紹介してきた「読書の時間」という授業は、本と読書について考える契機となることを目指している。本を読むことの豊かさ、本との出合い方、さらには出版業界従事者の仕事内容など、本の基礎からキャリア教育まで、本の周辺を知ってもらう。
 講師は合同会社未来読書研究所の読書推進カリキュラムを受講した方々に務めていただく。これからの社会を担っていく子どもたちが「これからの読者」として、暮らしのなかに本のある大人に成長するきっかけになればよいと思う。
 2023年度からの本格稼働を前に、本年度は小学校高学年と中学校2年生を対象にしたモニター授業を実施している。
(本紙「新文化」2022年10月6日号掲載)

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