5月3日から5日にかけて「上野の森 親子ブックフェスタ2022」が開催された。3年ぶりに上野公園で行われると聞き、初日に会場へ足を運んだ。天候にも恵まれ、家族連れを中心に多くのお客様が、出店している出版社のブースで熱心に本を選ぶ姿を見て、すごく嬉しい気持ちを抱いた。
期間中、読者謝恩価格で本を買えることも人気の要因のひとつ。感染対策のため、図書カードなどキャッシュレス決済のみが可能となったレジには長蛇の列ができていた。僕がうかがった時間帯は40分から1時間待って、会計を済ませることができる状況だった。
場内を回った後、会場付近でお客様の様子を眺めつつ、2つのことを考えた。
まずは、各出版社の皆さんが自社の本を熱心に紹介していた姿が印象的で、産地直送というのだろうか、コンテンツホルダーだからこそ伝えられる本の良さがある。直接読者に伝える機会が少ないからこそ、このような機会は読者と出版社双方にメリットがあるのだろう。いつもの本との出合いとは違う形で本と触れ合う機会を創出すること、コンテンツホルダーから直接読者へ自社の本の魅力を伝える場の必要性を再確認することができた。
もう一点は、図書カードが一部EC書店でも利用できるようになり、クレジットカードをもたない若年層がEC書店を積極的に利用する足掛かりとなるかどうかである。これまではリアル書店専用となっていた図書カードだが、これからはそんな角度からの見方を忘れないようにしたい。
(本紙「新文化」2022年5月26日号掲載)