前回、公共図書館への図書納入に関して、プロポーザル入札制度の導入と「税の域内還流化」から脱する流れについて書いた。その反響が大きかったので、ここであらためてプロポーザル入札制度に対応するために、書店として検討すべきことを考えてみたい。
一言でプロポーザル入札制度といっても、対象となる業務の内容は様々だ。図書納入のほか、貸出・返却や配架などの窓口業務、資料整備業務。さらに、施設設計を求められるもの、図書館が入る施設全体の整備計画の一部を委託される場合もある。
図書館総合支援企業や大手書店は、経験と技術力、さらに培ってきたネットワークをもとに作り上げた質の高い提案で挑んでくる。それは「市民に喜ばれる魅力的な図書館サービスを提供するためにできること」に主眼を置いた企業努力が裏付けとなっている。
図書館を利用することで、教養を深め、心身ともに健康で、安心して暮らし、それが地域活性化につながっていく。それを目指している点だけでも、スタート地点が違っているのだ。
図書館業務委託や整備計画への参画は、小規模書店単独で取り組むことは難しい。だが、他業種の企業と協力したり、地元の書店同士で連携するなど策は沢山ある。
大切なことは、図書の納入が目的でもゴールでもないのだ。〝地元だから〟ということ以上に、「図書館とともに利用者に提供したいことが何なのか」をしっかりと考えることが求められている。
(本紙「新文化」2022年3月10日号掲載)