第28回 プロポーザルの明暗

 書店経営の柱の一つに、公共図書館への図書の納入がある。入札制度による過度な価格競争の末の値引きや、装備作業の無償提供が前提となっているなかで、資本力の小さな書店は何とか踏ん張ってやってきた。
 入札制度については、価格重視の入札から、プロポーザル方式を採用することで過度な価格競争が是正されつつある。
 プロポーザル方式という入札方式は、提案そのものではなく提案者を選ぶ方式でもある。事業方針や実施体制、実績などが書かれた提案書をもとに、最も適した提案者が選ばれるのだ。
 「税の域内還流」を促す動きのもと、図書の納入に関しては地元の書店を活用していた自治体が多かった。しかし、プロポーザル方式の導入によって参入業者の多様化が進み、「税の域内還流」から脱する流れが多く見てとれる。
 小さな書店は、いよいよ太刀打ちできない状況にまで追い込まれている。そこにどのように立ち向かったらいいのか。
 二十数年前勤めていた第一書店の図書館担当者として味わった手痛い敗北を思い出す。その一件から傾きが始まり、後に廃業を余儀なくされた。その時から、課題であった「必要なものを必要な数だけ迅速に揃えられる流通」と「〝地元業者だから〟以外の自治体との関り」を模索してきたが、まだ道半ばである。
 近いうち、地元の書店がプロポーザルの参加者にすらなれないという惨事が起こらないうちに、あるべき姿をしっかりと考えるべきだろう。
(本紙「新文化」2022年2月24日号掲載)

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