先日、久しぶりに本屋の開店に向けた棚詰め作業をした。約20坪の小さな売場だが、空の棚を本で埋めていく作業はワクワクする。
売場づくりのお手伝いをさせていただいたのは、12月1日に開業した「本の世界を旅するホテル ランプライトブックスホテル福岡」(LBH福岡)である。
このホテルは「本を快適に読めること」を第一に考えてつくられた。すべての客室に、調光可能な照明や手元用のスタンドライト、くつろいで本を読めるソファを設置するなど、読書のための空間を提供する。
ロビーとカフェを兼ねた1階の本屋では「旅」と「ミステリー」をテーマにした約4000冊の本を揃え、販売している。本を通じて旅人と福岡の今昔を感じていただき、地元福岡の皆さんには旅のきっかけを提供する本屋となっている。
LBHの事業は「本を読むことは旅をすることに似ている」との考えが、「本の世界を旅するためのホテルがあってもいいのでは」に発展して始まった。名古屋を皮切りに、札幌、そして福岡へと繋がってきた。
一方で、LBHは単にロマンを追っているのではない。夜間の営業時間にいかに利益を生み出すかという、ホテル業界の課題を解決するメリットがあるのだ。
「〇〇と本屋」は、本屋における返品率のように、○○における課題を解決できるかが成功の大きなポイントになると改めて実感した。
(本紙「新文化」2021年12月2日号掲載)