㈱第一寶亭留は9月19日、北海道札幌市の定山渓温泉に唯一の本屋となる「風呂屋書店」を、ホテル「定山渓第一寶亭留翠山亭」内にオープンする。温泉と読書を愉しむための空間「風呂屋書店」では、2500冊の書籍を閲覧・購入することが可能で、「次はどこへ行こう」「温泉とサウナ」「発想が生まれる」といったコーナーなど、知的好奇心を刺激する旅をテーマにしたセレクトされた書籍が並ぶという。宿泊者以外も入店できる。
大日本印刷(DNP)は、宿泊施設などの書店業以外の事業者に対し、従来のサービスに本を組み込んで利用者の体験価値を高める、書店開業支援サービスを開始した。宿泊施設のほか、サービス付き高齢者向け住宅、飲食店、オフィス、ビジネスラウンジ、リゾートマンションなどに向けてサービスを提供するそうだ。
8月21日に日本出版インフラセンター(JPO)が更新した坪数登録書店軒数は、前年比95.2%の7906軒だった。この1年間で新規登録は96軒で、閉店軒数は464軒であり、減少傾向が続いている。
一方で、JPOに登録されていない小さな出版界隈に属する書店数は年々増加している。合同会社未来読書研究所の調査で、大手取次と口座をもたない書店数は、確認できただけでも8月31日現在で1049店あった。DNPが出版関連事業で培ったノウハウを活かし、書店業以外の事業者に対しての書店開業に向けた一連の支援サービスを通じ、異業種と書店のコラボが進み、小さな出版界隈の更なる活性化に拍車がかることを期待したい。
(本紙「新文化」2024年9月19日号掲載)