第15回 国語教育と読書

 過去20年の子どもの読書推進に関して、カギとなる出来事や法律の流れを調べていた。
 2000年「子ども読書年」、01年「子どもの読書活動の推進に関する法律を公布・施行」、04年「これからの時代に求められる国語力について文化審議会が答申」、08年「子どもの読書活動の推進に関する基本的な計画が閣議決定」、11年「新学習指導要領を施行(小学校)」、12年「同(中・高等学校)」。
 子どもたちの読書推進に関する施策は現在、04年の答申をもとに組み立てられている。答申では読書について、要約すると以下のように述べられた。
◎情報化の進展のなかで、読書によって「大局観」を培うことは国語教育の大きな目標である。
◎読書は情緒力の形成に欠くことができず、社会的・文化的価値観の確立のためにはとくに大切だ。
◎国語力の低下の一因に中学生以降の年代における読書量の低下がある。
 最後に「自ら本に手を伸ばす子供を育てる」国語教育が必要であるとまとめている。
 しかし、11年、12年の新学習指導要領では、読書活動の重要性は示されているが、具体的な読書活動推進方法は明示されず、指導内容に確実に取り入れることを求めるまで行きつかなかった。そして、ふわっとした状況のまま現在に至っている。
 現在、子どもの読書活動の推進に関する法律の改定などの準備が進んでいるようだ。より具体的な推進方法に踏み込んだ改定になることを願いたい。
(本紙「新文化」2021年8月5日号掲載)

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