書店調査会社のアルメディアによると、2020年5月時点での書店数は1万1024店で、前年比422店減少したとある。さらに、店舗をもたない本部や営業所などを除くと、その数は9762店で前年比412店減少という調査結果が発表されている。
1日に1店以上の書店が閉店しているというこの調査結果は、出版の枕詞のように不況という言葉が定着した今の状況を表していると言えるだろう。確かに街の小さな本屋は次々と姿を消し、大手チェーンの苦境も耳にすることが増えた。
はたして出版不況に出口はないのだろうか。
けっしてそんなことはないのだ、ということを感じさせてくれる特集記事を読んだ。「本の雑誌」5月号の特集「本屋がどんどん増えている!」だった。読んでいるうちに、「いま行きたい! 全国独立系本屋112」を手に本屋めぐりに出かけたくなってしまう。ぜひ手に取ってみてほしい。
調査結果という数字には表れない形で、広い意味での本屋は確実に増えている。
拙書『もういちど、本屋へようこそ』において、EC書店を動脈と静脈に、まちの書店を毛細血管に喩え、本を読者に届けるためにまちの書店は必要だと唱えた。その考えは今も変わらない。
独立系本屋をはじめ、本を届けようとする取組みは地域を問わず広がっている。僕は、出版は本質的にマスコミではなく、ミニコミの集合体であると思っている。そこに立ち返ってみると、一つの出口が見えてくるのではないだろうか。
(本紙「新文化」2021年4月22日号掲載)