第85回 書店から学校図書館へ

NPO法人読書の時間が提供する授業・ワークショップ形式の読書推進プログラム「読書の時間」と、その軸である「DNP子ども読書活動支援キット」をトーハン・日販を通じ、書店経由で学校図書館へ提供いただく準備を進めている。

キットは、カレンダーのようにめくると毎日新しい本と出合える「日めくり本紹介」、質問に答えて自分にあった本を見つける「本結び」などのアイテムで構成。制作にあたっては、各地の学校図書館関係者へのヒヤリング調査を実施した。忙しい司書や教員のご意見を反映するとともに、子どもが主役の読書推進活動を目指し、教室でも図書館でも活用可能で「貼るだけ置くだけ!手間いらず!」のキットにすることを心掛けた。

モニター調査では、子ども同士のコミュニケーションツールとして活用いただいているとの声もお聞きした。キット内には、本を紹介し合う「本のカルテ」というアイテムが入っている。小学6年生の生徒が「こんな本を読みたい」と書き、2年生の生徒がおすすめする本のコメントを返した事例もあった。

先生方からのヒアリングで「授業だから仕方なく読むのではなく、自発的に興味をもって『読みたい』と思ってもらいたい」が、「普段の授業や学校活動に追われ、読書指導としてより踏み込んだ活動まで手を伸ばせていない」と伺って生まれたキットである。そんな先生たちのお手伝いになれば嬉しい。そして「読書推進のハブ」である書店と、図書館等の橋渡しの一助となることができたらと思っている。

(本紙「新文化」2024年7月4日号掲載)

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