今年度は、公共図書館の様々な集まりで話をしてほしいという依頼が急増した。7月の図書館問題研究会による第70回全国大会茨城大会in日立の分科会「図書館員だから本気で書店と出版業界を理解する!」をスタートに、山形県新庄市や岩手県大会などへも伺う。
「書店・図書館等関係者における対話の場」が話題となり、公共図書館側では書店・出版社などと、お互いの理解を深めようとする動きが活発化している。僕は、なんらかの意図をもった交渉ではなく、書店業界のリアルな姿を伝えることが大切だと考えており、今年は、相談があったすべてに対応しようと思っている。
一方で、書店業界が公共図書館の関係者を招き、話を聞くなど、図書館を知ろうとする行動は今のところ見られない。書店業界にもたくさんの集まりがある。「対話の場」で公共図書館に対し、「地元書店からの優先的資料購入・複本・装備・値引きに関する検討やルールづくり」など、様々な要望をしたのだから、図書館の仕組みや役割、そしてどんな協働が必要であるかを自ら学ぶべきではないだろうか。
しっかりとお互いを知ることから、新しい連携の形が見えてくるはずである。公共図書館関係者の皆さんの学ぶことに熱心な姿勢に触れる度に、今の書店業界に足りないことが見えてくる。学校図書館についても同じことがいえる。
公共図書館・学校図書館と連携して書店ができる役割は、まだまだたくさんある。ぜひとも書店業界から新しい連携の形を提案してほしいものだ。
(本紙「新文化」2024年6月6日号掲載)