読書週間が行われるこの季節は、すごく楽しみな講座がある。
JPIC読書アドバイザー養成講座である。
受講した皆さんは、自己の教養を高めるとともに、企業における社員教育の一環、地域での活動やご家庭などで創造的に「読書の効用」を活かした読書推進活動を実践されているのが特徴である。
受講後、これだけ多くの実践につながる講座は、ほかに思いつかない。公共図書館・学校図書館、出版社、取次、書店の関係者だけではなく、出版業界に興味をもつ学生や一般の方々も多く参加されている。
講座のテキストの「はじめに」にこんな記述がある。少し長いが引用したい。
「忘れてはならないことが読書アドバイザーにはあります。様々な方法で本と触れ合う場が増えてきていますが、それは著者がいて、出版社があるからこそ可能なことだということです。個人と個人が本を交換したり、不要になったものを提供したりすることで本が好きになり、次の読書活動につながることは大変重要で意義のあることです。しかし、そればかりでは出版社に収益が生まれず、著者に還元されません。それが続けば、新しい本が発売されなくなり読書活動自体が困難となります」
「本を買う行為=読書」ではないのだが、作り手と読み手がいる世界を維持させるために、共栄共存できる環境づくりが必要であるという姿勢は非常に重要である。
このような学びと気づきをされた皆さんだからこそ、その後の実践につながることが多いのだろう。
(本紙「新文化」2023年11月30日号掲載)