読売新聞社は、秋の読書推進月間に合わせて「読書推進月間 読売世論調査」を実施し、調査結果を紙面で公表した。2019年の調査をもって毎日新聞社が72年間続けてきた読書世論調査を打ち切ったことで、読書に関する実態がつかみづらくなっていたこともあり、読売世論調査の公表を待っていた。
調査結果を拝見し痛烈な違和感をもった。その内容が、読書に関する世論調査ではなく、書店に関する世論調査だったからだ。無書店地域に関する設問には、「地域の書店を保護するために国や自治体が支援をする方がよいか」というものまであった。書店が、国や自治体に保護される対象として認識してほしいという意図なのだろうか。さらに、「主にどのようなきっかけで、読む本を選びますか」という設問の選択肢に、公共図書館も学校図書館も含まれていないというお粗末なものだった。
無書店地域で調べるべきは、書店保護の是非ではなく、むしろ公共図書館や学校図書館の利用状況がどのようになっているのかであるべきだ。もちろん書店が残り続けてほしいと考え活動しているが、「本を買うという行為=読書」ではなく、「読書推進=書店活性化」ではない。
全国の市区町村のうち約3割が、「無書店自治体」となっていることについて、改善の必要があると「思う」とした人は61%で、「思わない」の35%を上回ったという調査結果が独り歩きし、書店保護に公費をなどという声が上がることを懸念している。
(本紙「新文化」2023年11月16日号掲載)