日本雑誌協会、日本写真著作権協会、日本書籍出版協会、日本新聞協会の4団体は8月17日、「生成AIに関する共同声明」を発表した。
声明では、著作物に表現された思想または感情の享受を目的としない利用行為として、「情報解析の用に供する場合」などを挙げた著作権法第30条の4が、「諸外国に比べ、AI学習に極めて有利に作られている」と指摘。
同条のただし書きでは「著作権者の利益を不当に害する」場合は利用できないとされているものの、「その解釈は明確ではなく、また海賊版の学習利用も禁止されていません。権利侵害コンテンツが大量に流通する恐れがあるにもかかわらず、著作権者に対する実効的な救済策は何ら示されていません」と問題点を挙げる。
そのため、次のような事態が生じ、著作権法が目的とする文化の発展を阻害する恐れがあると警鐘を鳴らす。
(1)学習利用の価値が著作権者に還元されないまま大量のコンテンツが生成されることで、創作機会が失われ、経済的にも著作活動が困難になる。
(2)海賊版をはじめとする違法コンテンツを利用した、非倫理的なAIの開発・生成が行われる。
(3)元の作品への依拠性・類似性が高い著作権侵害コンテンツが生成・拡散される。AI利用者自身が意図せず権利侵害という違法行為を行う可能性がある。
また声明では、「著作権法第30条の4は2018年の改正でつくられましたが、当時、生成AIのような高度なAIの負の影響が十分に想定されていたわけではありませんでした」とし、「第30条の4ただし書きの解釈を明確にし、著作権法改正の必要性を見極める必要があります」と提言した。
創作活動においても、生成物に権利侵害リスクがあるままでは安心して生成AIを補助的に活用することができないとし、「生成AIが文化の発展を阻害しないよう、技術の進化に合わせた著作権保護策があらためて検討されるべき」と訴え、「私たち権利者団体と関係当局の間で意見交換を行う場が設けられることを望みます」と結んだ。