『「若者の読書離れ」というウソ』(平凡社新書)が大きな話題となった、飯田一史氏の新刊『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか 知られざる戦後書店抗争史』(同)が、4月17日に発売される。
いま、書店業界が抱える諸問題の根本と向き合わなければいけない時期に来ている。これまで先送りにしてきたツケを払う時が来た、といえるのかもしれない。それなのに、問題の根本がどこなのかさえ共有できていない状況に愕然とすることがある。
そんな状況下、本書が発売されることに大きな意味がある。書店本は世の中にたくさんあるが、本書は著者のフィルターを極力かけず、散らばっていた「事実」を丁寧に拾い集めた本である。
「真実」と「事実」の二つには大きな違いがある。「真実」とは、「見た人が見たい現実を見ているもの」であり、それを発する人の価値観を切り離すことができない。だから「真実」は一つではなく、人の数ほどある。多くの書店本は「真実」が書かれているといえるだろう。
しかし、「事実」は一つなのです。
僕は、書店業界が抱える諸問題の根本に辿り着かない最大の理由は、書店業界がこれまでの経緯やあったはずの「事実」と正しく向き合ってこなかったことにあると考えている。そういう意味において、いま、本書は出版される必要があり、読まれるべき一冊だ。まずは、書店業界に染まっていない著者だからこそ拾い集めることができた「事実」に耳を傾けよう。
(本紙「新文化」2025年3月20日号掲載)