第101回 版元と協働、高校生向け授業

久しぶりにNPO法人読書の時間のお話を。

この4年間は、小中学校の学校図書館の整備推進に絞って活動してきた。NPO読書の時間の活動に賛同いただき、連携して活動いただく書店も51法人となった。2025年度は、これまで独自調査の結果見えてきた学校図書館の蔵書更新の課題を解決すべく、活動していきたいと考えている。

先日、とある版元さんより、高校生向けの出前授業を検討しているが、読書の時間との連携が可能かどうか、というかなり具体的なお話をいただいた。意図も明確で我々の考えとほぼ一致していたことから、その場でお引き受けした。

各種データが示す通り、児童生徒の読書傾向は、小中学生は以前に比べると読書しているが、高校生になると一気に読まなくなると言える。これまでも様々な高校生に向けた読書の魅力を伝える事業が実施されてきたが、小中学期の読書体験が、高校期の読書活動につながっていないことをどの様に考えたらいいのだろうか。

我々は「本をいかに手に入れ」「読み」「使うか」という、より実践的な高校生向けの授業「読書の時間」の構築を進めている。これを出版業界として取り組むことの意味をこれまで一貫して訴えてきた。だからこそ、今回の版元さんからのご提案はすごく嬉しくて、しっかりと準備をしていきたいと考えている。

まずは、効率と理解が両立する読書体験を、版元の皆さんとともに構築していきたい。ご一緒いただける版元さん、ぜひお声がけください。

(本紙「新文化」2025年3月6日号掲載)

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