神奈川・相模原市は9月、市議会の定例会議に提出する一般会計補正予算案で、市立小中学校の学校図書購入費について当初予算の約4倍となる約9400万円を計上し提出した。
文部科学省による令和2年度「学校図書館の現状に関する調査」によると、同市の学校図書館図書標準の達成率順位は政令指定都市20都市のうち15位であったが、小中学校の1校当たりの図書購入費は19位となっていた。とくに直近の2年間は4割以上を減額。最低限の図書資料の購入すらままならない状況となっていることが問題視されており、ロータリークラブをはじめとする民間団体からの寄贈などの援助を頼りとした運営が続いていた。
そんななか、学校図書館関係者や相模原市書店協同組合が窮状を訴えることで、今回の予算確保につながったと聞いている。同市に限らず、全国の小中学校1校あたりの図書購入費は、21年度の決算額を見ると、12年度と比べて約8万円減っている。平均図書購入冊数で換算すると100冊程度減少している。
図書予算を確保するには、財源である地方交付税交付金の性質上、各自治体が学校図書購入費として予算計上する必要がある。
予算がないから何もできないという諦めの声も多く聞かれるが、大切な〝これからの読者〟である子どもたちがもっとも身近に本と出合う場は学校図書館だ。
相模原市の例に学び、学校図書館関係者と出版業界がタッグを組み、予算の確保を訴えることが必要だろう。
(本紙「新文化」2022年10月20日号掲載)