経済産業省の書店振興プロジェクトチーム(PT)がまとめた「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」と「書店経営者向け支援施策活用ガイド」が公表された。「課題(案)」については、10月4日から11月4日までの間パブリックコメントを行っている。
僕は今回の書店をめぐる経産省の動きについて2つの役割において大きな成果があったと考えている。
1つは、意見を集約する機関がなく、プレイヤーの立ち位置により現状認識が大きく違い、業界全体として課題と向き合っていない書店業界の実態を業界外に広く周知することができた点である。
課題を直視できない限り、それを解決することはできない。経産省が、あえて「関係者から指摘された書店活性化のための課題(案)」というPTとしては珍しいとりまとめ方をしたのは、業界の皆さん、まずはしっかりと自身の業界の課題を認識しましょうね、というメッセージなのではないかと思ってしまう。
2つ目は、2024年度の「骨太の方針」に、書店と図書館との連携などによる文字・活字文化の振興と、書店の活性化が盛り込まれたことである。
これは今後、文部科学省や文化庁と連携が進む可能性が広がる大きな成果だったと思われる。
また、既存の助成金の活用法を綴ったものではあるが、書店経営者向けに、親切にまとめられた支援施策活用ガイドを上手に使っていただきたい。
これで書店振興PTは一区切りとなる。課題をどう解決していくのか、業界の覚悟が問われている。
(本紙「新文化」2024年10月17日号掲載)