本と読者のコミュニケーションを双方向からサポートすることを目的として、昨年、同志数名と「未来読書研究所」という団体を設立した。
GIGAスクール構想で進む学校教育のデジタル化が読書に与える影響の調査、幼少期から小中高期に読書する環境づくりのサポートを準備中である。
数年来、出版業界全体のコミュニティの力で、子どもたちと本を、学校と社会をつなぎ合わせることができないかと模索してきた。まずは、子どもたちに本と読書について考えてもらうために、授業「読書の時間」をオンラインで提供する予定だ。
多様な専門知識と価値観をもつ出版業界の様々な方を先生に招く。「読書の時間」を通じて、本とは何か、本との出合い方、読書の豊かさ、さらには出版業界関係者の仕事内容など、本の基礎からキャリア教育まで、本の周辺を知ってもらえる内容を考えている。
地域的な理由で、学校のなかで出会える人の多様性を確保することが難しいこともあるだろう。
本授業が、子どもたちの可能性を広げ、地方と都市部の教育格差、機会格差を埋めることにも繋がってほしい。
「読書の時間」が、これからの社会を担っていく子どもたちを「これからの読者」に、暮らしのなかに本がある大人に成長させるきっかけとなればと思う。。
出版業界の力を学校に注ぐことで、教育がより豊かになっていくことを願うとともに、その一助となることを目指している。
(本紙「新文化」2021年2月25日号掲載)