出版文化産業振興財団(以下、JPIC)は、2022年度から、SDGsが謳う「誰一人取り残さない」持続可能でよりよい社会の実現をめざして、「本だなプロジェクト」を立ち上げ、子ども食堂や無料塾に本と本棚を寄贈し、子どもたちに本と親しんでもらう環境を整える活動をしている。先日、2024年度の募集要項も発表された。
NPO法人読書の時間は、22年度から連携している3067人の地方議員とともに、全国の学校図書館の図書予算の執行状況の調査を進めてきた。各自治体の学校図書館運営に対する温度感の違いに愕然とした。限られた予算のなかで、年々図書購入予算が減少している現状もむべなるかな、という状況だろう。
一方で、学校図書を充実し子どもたちがより読書に親しみ、学校図書館をより便利に活用できるように、ふるさと納税を活用して学校図書館整備を進めている自治体が増えてきた。把握しているだけでも23年度は109の自治体が実施し、24年度は昨年よりも増加している。
JPICも、新事業として子ども読書環境プロジェクトを立ち上げ、学校図書館をはじめ、児童館・保育園・幼稚園・学童教室・養護施設・子ども食堂など、子どもたちが集まる場で本と出合える環境整備をすすめ、本とのタッチポイントを増やすサポートをしていくという。
出版業界にとって大切なのは、これからの読者である。JPICを中心に、出版業界全体でこれからの読者を育てる活動の輪が広がっていくことを期待している。
(本紙「新文化」2024年6月20日号掲載)