第55回 企業版ふるさと納税について

書店と連携した企業版ふるさと納税活用の試みが始まっている。茨城県つくば市は4月1日から、コーチャンフォーつくば店で児童書を購入すると寄付金がつくば市に還元される仕組みを、リラィアブルと連携してスタートした。つくば市はこの財源を使い、子育て政策を充実させるとしている。本の売買は地域貢献に当たらないという行政の見解があるなか、このような取組みは今後より注目されるだろう。

企業版ふるさと納税は、企業が寄付を行った場合に法人関係税から税額控除する仕組みで、最大で寄付額の約9割が軽減される。実質的な企業の負担は約1割となっており、企業の社会貢献などの活動で用いられる機会が急増している。

ふるさと納税については、税の域外流出が課題となっている自治体も増えている。財源不足は、公共図書館や学校図書館の資料購入費にも影響を与えている。予算削減で新しい本を購入ができないということは、子どもたちは情報が更新された本での学びができていないと言える。

NPO読書の時間でも、企業版ふるさと納税を活用した「学校図書館図書寄贈モデル」を自治体や企業に提案している。企業からの寄付金をもとに学校図書館に図書を寄贈し、読書推進プログラム「読書の時間」の授業を実施する取組みだ。

学校図書予算の減少を補い、図書機能の移り変わりに対応できるよう、購入する図書の選定もサポートする。業界内外の協力を得ながら、全国に広めていければと思う。

(本紙「新文化」2023年4月6日号掲載)

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