第103回 書店で国際交流

少子高齢化が進む日本において、人手不足が慢性化しており、深刻な社会問題となっている。人手不足は単に働く人が足りないだけではなく、地域コミュニティの崩壊など、さまざまな問題を引き起こしている。

問題解消の手段はいくつかあるが、外国人労働者を採用することも、有効な選択肢のひとつである。学んだ技術をもち帰り母国で活かしたい、働きながら語学や日本文化を学びたい、そうした想いをもって訪日する方も多いという。実際、さまざまなメリットや課題もあるが、外国人労働者の雇用数は毎年、右肩上がりで増加し続けている状況にある。

そこで、未来読書研究所は、書店を「地域×企業×外国人」の文化交流の場として活用できないかと思案している。

書店が地域において「地域住民の外国語学習・コミュニケーションの場」「企業・住民が新しい従業員との相互理解を実現するための場」「外国人がより深く日本を理解するための場」「訪日外国人の悩み解決の場」となれるのかを考え、連携いただいている自治体や書店とともに準備を進めてきた。

外国人労働者の皆さんへのヒヤリング、ベトナムのホーチミン市にある日本語学校でのモニター授業などを通じ、まずは異文化理解を深め、生活習慣や価値観の違いが尊重され、困りごとを減らすこと、そして識字能力の向上を目指している。

我々が実施してきた読書推進プログラム「読書の時間」を活用し、識字学習カリキュラムを制作・提供することも検討中だ。

(本紙「新文化」2025年4月3日号掲載)

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